Tutorial : AbletonとMaschineの統合1 概要編
Native Instruments社のMaschineはソフトウェアの柔軟性とハードウェアの操作性を兼ね備えたグルーヴボックスです。パターン・ベースのシーケンサー、プロフェッショナルなサンプラー、マルチ・エフェクト・ユニット、VST/AUプラグイン・ホストが直感的に操作できるようになっています。最近ではその操作性とTraktorとの親和性からプレイに取り入れるDJも増えています。
Maschineは操作性には優れますがシーケンサーの機能についてはAbeleton Liveに比べると劣ります。また、エフェクターについてもAbleton Liveのほうが種類や設定パラメーターが豊富です。特にMaschineのコンプレッサーにサイドチェイン機能がついていないのはダンスミュージック制作においてはマイナスポイントです。
MaschineとAbleton Liveを統合するとMaschineの操作性とAbleton LiveのGroove機能やオートメーションに優れたシーケンス機能やエフェクトを使用したミックスダウンまで柔軟なワークフローを構築できます。
Maschine直感的な操作で作成したループやアイデアのスケッチをAbleton Liveでじっくりとアレンジをしてミックスダウンをする。その一連の流れを実現する方法について説明します。
Step1-MaschineのMIDI設定
MaschineはドラッグでMIDIファイルをAbleton Liveへエクスポートできます。
その際に次のエクスポート形式を指定することができます。設定はSound MIDI Batch Setup画面から行います。
- Sound To MIDI Note:ノートごとに異なる複数のサンプルをアサインしている場合。主にドラムマシンの打ち込み時に使用。
- Sound To MIDI Chanel:ノートごとに音程をつける場合。ベースなどの音程楽器の打ち込みで使用。
Sound To MIDI NoteでMIDI情報をAbletonにエクスポートした場合は、Maschineのグループ内の16個あるサウンドスロットにそれぞれNoteナンバーをアサインして1つのMIDIファイルとしてエクスポートされます。Maschineのパターンエディターでステップエディタの演奏情報が1つのMIDIファイルとしてエクスポートされますが、ピアノロールで打ち込んだNote情報は無効になります。
Sound To MIDI ChanelでMIDI情報をAbletonにエクスポートした場合は、Maschineのグループ内になる16個あるサウンドスロットに個別にMIDIチャンネルがアサインされ別個の複数のMIDIファイルとしてエクスポートされます。Maschineのパターンエディターのピアノロールで打ち込んだNote情報はそのままです。
Sound MIDI Batch Setup画面の出し方はMaschineのグループトラックを右クリックまたは、パターンシーケンサー画面のをクリックしてSound MIDI Batch Setupを選択します。Sound To MIDI Note/Sound To MIDI Chanelの設定とエクスポートするMIDIチャンネルやNoteナンバーの開始Noteを指定できます。
サウンドスロットへのMIDIチャンネルのアサイン方法は、サウンドスロットを右クリックしてSound MIDI Settingを開き、ChannelからMIDIチャンネルを指定します。
Ableton LiveのMIDIトラックのMIDIチャンネルとMaschineのMIDIチャンネルを合わせるとマルチ・チェンバーインストルメントとしてMaschineのサウンドを演奏できます。
Maschine側のMIDIチャンネルはサウンドスロット単位で個別にアサインをします。グループ単位でのアサインではないので注意が必要です。
Step2-Maschineのパラアウト
MaschineをAbletone Liveのプラグインインストルメントとして使用する場合には、1つのMaschineインストルメントにつき16ステレオのヴァーチャルアウトプットを使用できます。
アウトプットのアサインはサウンドスロットを選択しサンプラーアウトプットタブのOutputのプルダウンから設定します。
Ableton LiveのAudioトラックの入力タイプセレクターのアウトプットチャンネルと表示方法が異なるので注意が必要です。
Out1-1/2-Maschine
Out2-3/4-Maschine
Out3-5/6-Maschine
Out4-7/8-Maschine
〜以下同様
Step3-External Instrumentの使用
MaschineをAbletone Liveのプラグインインストルメントとして使用する場合はExternal Instrumentを使用します。MIDIトラックを挿入しルーティングをMaschineにすることでも可能ですが、Maschineをパラアウトで使用する場合は、MIDIトラックとAudioトラックをそれぞれ別個に使用することになります。External Instrumentを使用することでMIDIクリップとオーディオアプトプットを1つのトラックにアサインすることができます。
設定方法は次の通りです。
1.MIDIトラックを新規に挿入する。
2.ライブラリブラウザからMaschineを選択しMIDIトラックへドラッグします。
3.External Instrument用のMIDIトラックを挿入します。
4.ライブラリブラウザからExternal Instrumentを選択し新規MIDIトラックでドラッグします。
5.External Instrumentの設定を行います。
- MIDI To でMaschineとMIDIチャンネルを設定します。
- Audio FromでMaschineのアウトプットを選択します。
External InstrumentのMIDIトラックを複製しそれぞれのMIDI To とAudio Fromの設定を変更することでMaschineをMIDIマルチ・チェンバーインストルメントとして、またオーディオアウトプットのパラアウトをそれぞれのトラックごとにアサインしAbletonからコントロールすることができます。
